【第5回】ビッグバンド最初の1曲はどう選ぶ?

〜初心者がいても楽しく完成できる選曲のコツ〜

ビッグバンドを立ち上げてメンバーが集まってきたら、いよいよ演奏する曲を選ぶ段階です。しかし――
「最初の1曲」こそ、バンドの雰囲気・進行・今後の定着率を左右する超重要ポイントだということをご存知でしょうか?

この記事では、最初の選曲を成功させるための考え方や、おすすめ曲の紹介、譜面の入手方法まで、詳細に解説します。


◆ なぜ「最初の1曲」が大事なのか?

最初の1曲は、以下のような役割を担います。

  • メンバーが「ビッグバンドって楽しい!」と感じられるかの分かれ目

  • 練習スタイルやレベル感を把握する基準曲

  •  
  • モチベーション維持のための“共通目標”になる

  • バンドとしての第一歩が“完成”するかどうかの鍵

よって、「無理がなく」「演奏して気持ちよく」「ある程度の達成感がある」曲を選ぶことが理想です。


◆ 選曲前に確認すべき3つのポイント

① 現在のメンバー構成

  • パートが揃っているか?

  • 初心者やブランク経験者が多いか?

  • 読譜能力・合奏経験の有無

例)トランペット1人+サックス3人+リズム隊 → パートを減らした簡易版アレンジを選ぶのが◎


② 練習頻度・期間

  • 月1回なら、1曲完成に2〜3ヶ月かかるのが普通

  • 短期集中ならシンプルな曲で達成感を優先


③ 今後の方向性

  • コンテスト志向?ライブ重視?地域演奏?

  • ラテン・ファンク・スウィングのどれを軸にしたい?

→ 今後の活動の“型”を作る意味でも、ジャンル選定は重要です。


◆ 初心者が混ざっていても楽しめる!おすすめ曲5選

以下は、実際に多くのビッグバンドで「最初の1曲」として選ばれている定番・人気の譜面です。

曲名 特徴 難易度 入手方法
In The Mood(グレン・ミラー) 有名・シンプル・誰でも聞いたことがある ★★☆☆☆ 市販譜多数、JAZZLIFE等でも
Sing, Sing, Sing ドラムが映える、迫力あり ★★★☆☆ Hal Leonardや日本語譜でも入手可
Moonlight Serenade ゆったりバラードで合わせやすい ★☆☆☆☆ グレン・ミラー集などに収録
American Patrol 各パートに見せ場がある ★★☆☆☆ 吹奏楽経験者にも親しみやすい
C-Jam Blues シンプルなコード進行、アドリブ練習にも◎ ★☆☆☆☆ フリー譜面多数(著作権切れ)

◆ 逆に「避けた方がいい」最初の曲とは?

  • 高速ラテンやファンク(リズムとセクションの完成度が必要)

  • 難解な転調・拍子変化が多い曲(リハーサルで疲弊しがち)

  • アドリブ・ソロ比率が高すぎる曲(ソロに自信ないと萎縮)

  • 各セクションのパート数が必要なもの(特定パート不足時にバランス崩壊)

最初は「完成させる」ことが目的なので、**“カッコよく聞こえるが実は難しい曲”**は避けるのが賢明です。


◆ 譜面はどこで手に入れる?

【1】市販譜(有料)

  • Hal Leonard, Alfred, Kendorなど海外出版社

  • 日本では「アスクミュージック」「JAZZLIFE楽譜」「サーベル社」などで取り扱いあり

  • 価格は1曲3,000〜10,000円程度

【2】インターネットの無料譜面

※著作権に注意しつつ、無料譜を参考にするのはOK。

【3】バンド経験者の手持ち譜を共有

過去にビッグバンドに所属していたメンバーがいれば、譜面を提供してくれることも。これが最もコストパフォーマンスが高い。


◆ 1曲完成させたら、次の展開へ

  • メンバーに「次は何をやりたい?」とアンケート

  • 演奏した動画を撮って、SNSやYouTubeにUP(モチベ向上)

  • 同じジャンルで1曲ずつ難易度を上げていく(スウィング → ラテン → ファンク)

最初の1曲が完成すると、バンドは一気に“チーム”として動き始めます。


◆ まとめ:最初の1曲は「背伸びせず、達成感を」

  • 有名で聴き馴染みがある

  • 各パートにある程度“見せ場”がある

  • 無理なく合奏できる難易度

これらを基準に選べば、初心者も経験者も楽しめる、素晴らしいスタートになります。

関連記事

トランペットハイトーンの出し方

TOP
TOP